2017-02-08 三分一湧水 ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず。 淀みに浮かぶ泡(うたかた)は かつ消えかつ結びて 久しくとどまりたるためしなし。 世の中にある人と栖と またかくのごとし。 知らず、生まれ死ぬる人 いづかたより来たりて いづかたへか去る。 また知らず、仮の宿り 誰がためにか心を悩まし 何によりてか 目をよろこばしむる。 その主と栖と、無常を争ふさま いはば朝顔の露にことならず。 或は露落ちて、花残れり。 残るといへども 朝日に枯れぬ。 或は花しぼみて、露なほ消えず。 消えずといへども 夕を待つ事なし。 - 方丈記